[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2014/02/12)

ベトナムの繊維業界

 谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)
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輸出が急増するも「原料問題」に頭を悩ませるベトナム繊維業界

 2013年末時点で、ベトナムの繊維産業には約6,000社の企業と250万人の労働者が従事しているといわれる。2001年にはベトナムの繊維関連の輸出額は約20億USDであったが、2012年には170億USDまで跳ね上がり、2013年は200億USDを超えた。現在、ベトナムは世界でも5番目に大きな繊維輸出大国である。ベトナム政府が2008年に繊維輸出額を20年に250億USDへ引き上げることを発表したこともあって、年間輸出額はここ数年平均年率15%増で成長しており、更なる輸出拡大が見込まれている。

 しかしながら、ベトナム繊維産業には大きな課題が存在する。それが、原料不足の解消である。ベトナムはあくまでも「縫製地」であり、原糸や生地の生産地としては、中国は勿論、同じASEAN内のタイやインドネシアにも大きく遅れをとる。実際、繊維企業約6,000社のうち、資材メーカーの割合はわずか0.7% で、合成繊維メーカーは0.1%、綿糸メーカーは0.2%、繊維メーカーは4.3%、染色整理業者は3%であり、素材はタイのエラワン・テキスタイルやインドネシアの日系紡織企業、中国企業製などが主となっている。

 また、ベトナムの繊維輸出企業は主要海外市場で高率の関税に苦しんでいる。ベトナム繊維製品は、50%が米国市場、17%が欧州市場、日本市場は12%、韓国市場は6%。これらの市場のうち、米国における関税は17.5%、欧州では9.6%である。この関税問題の光明がTPPといわれている。ベトナムが環太平洋経済連携協定(TPP) に調印すれば、輸出されるベトナム製繊維製品の関税がゼロまで削減される。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の最も重要な側面は、協定が有効となるやいなや、輸入関税が撤廃されて、商品貿易の自由化が強力に推し進められることであると経済専門家らは言う。


株式会社ワールディング

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TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。


 


 

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